
育でもあるような活動を作り出したり、現にどちらかで行っている活動を両者共有のものとして認めたりすることであるから、たとえば地域で中学生から高齢者までが参加できるようなクラブ活動を作り出し、中学生が参加した場合に部活として認めることになる。学校の開放講座に高校生が参加した場合、それを学校教育の授業時間としてカウントすれば、それも学社融合なのである。現に、専門学校が社会人のために開く園芸講座などでは、生徒がボランティアとして参加すれば、それを実習の単位として認めるような例もある。
それでは、このような学社融合にはどのようなメリットがあるのだろうか。
まず学校側についていえば、児童・生徒の個性の伸長を図り、創造性を育成する機会を大幅に拡張できる、というメリットをあげることができる。また、教師が学社融合に参加すれば、地域の人々との交流ができるし、さまざまな刺激を受けることによって、より一層の自己向上を図ることもできる。学校全体としても、地域に支えられた学校となることのメリットは大きい。
次の地域社会の人々の側からみても、学校のもつ貴重な生涯学習資源を活用することにより、生涯学習の機会が拡充されるという利点がある。ここで資源といっているのは、施設・設備だけではない。教師のもつ知識・技術等も含んでいいる。また、学校の中に地域の人々が入る事も多くなるであろうが、それは人々の学習成果の活用の場がそれだけ広がることを意味している。さらに、学社融合活動の成果を地域社会や家庭で活用すれば、地域社会の活性化や家庭生活の向上にもつながるであろう。
教育委員会にとっても、メリットは大きい。
生涯学習社会を地域レベルで実現するためには、タテ割り行政の弊害を是正し、住民の多様化、高度化する学習ニーズに応えることができるような教育・学習システムを構築しなければならない。学社融合は、そのようなシステム構築を加速化することになるであろう。また、今日の学校教育の問題を解決するために、地域社会の力を借りようとすれば、学社融合はきわめて有力な方策となるにちがいない。
■青少年教育施設と学社融合
青少年教育施設で学社融合を行うとなると、まず学社融合が可能かということを検討してみなければならない。おそらく青少年教育施設の側は、学校教育との融合に抵抗はないであろう。施設の目的に照らして、学校教育が入ることは歓迎こそすれ、拒否する理由は何もないからである。
それに対して、学校教育側には大きな抵抗感がある。その最大のものは、教師の負担が増大することへの恐れであろう。今でさえも教師は忙しいのに、さらに新たなことを背負わなければならないのかというのである。それについては、今後、栃木県鹿沼市が文部省の学社融合推進プロジェクト事業の補助を受けて始めた学社融合の取り組みがどのような成果をあげるか、また、国立妙高少年自然の家が同じ文部省の学社融合推進プロジェクト授業で行っている学校側についての調査研究がどのような結果になるか、などを見ながら、教師が楽になる学社融合を考えていかなければならないように思われる。
国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議『国立青年の家・少年自然の家の改善について(報告)』(平成7年)は
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